7番隊隊長の部屋

今とか未来とか。日記ではない。日記はまた別にあります。

日々 7

「じゃあ、私達はそろそろ行くわ。充分休んだし、必要な物も手に入ったし。保存食ありがとうね。」
「まあ、元気でやれよ嬢ちゃん。またどっかであったら、そんときはまた一緒に飯食おうぜ。」
「はい。お食事ありがとうございました。また会えるといいですね。」
何事もなく一週間は過ぎ、彼女達は次の目的地へ旅立って行った。私は扉の陰から手を振り続け、二人が見えなくなると大きなため息をついた。

「やっと行った…………疲れた…。」

やっぱり人と一緒にいるのは精神的に疲れるものだ。私は一人で本を読んでいたい。本は人と違って余計な事を言わないし、意見を変えたりしない。求めたければ勝手に動いたりしないし、求めれば必ず答えてくれる。

「確か、7つの枝シリーズが途中だったっけ……。」

私は図書室に戻る。いちいち宿泊用の部屋にいくのは面倒なので、私は毛布や食料を図書室に持ち込んで1日のほとんどを図書室で過ごすようになっていた(旅人の二人には「まさに本の虫だ」と呆れられた)。

私は毛布の上に座ると本を開いた。何ページの何行目の何文字目まで読んだかはっきり覚えている。ちょうど主人公がレストランに入り、カレーライスかオムライスのどちらを頼むか悩んでいた所だったはずだ。

そして私は読む。読んで、ページをめくって、また読んで、またページをめくる。ページをめくる僅かな時間がもどかしい。行から行へ目を移すその隙間がもどかしい。いつしか私は本を読んでいると言うことも忘れて物語の世界に引き込まれていく。

そうして600ページはあろうかという本を読み終え次の巻に手を伸ばした時には40分が経っていた。読むたびに加速していくのが自分でも分かる。もっと速くなればもっと本を読める。もっと本を読めばもっと速くなれる。そんな風に本は私の日々の生活においてとても重要な部分を占めるようになっていた。

タイトル通り7巻全てを読み終わると、私はしばし余韻に浸った。最後の最後で今までの仲間が集結する、あのシーンはベタだけれど感動的だった。一人一人の台詞が手に取るように思い出せる。

「仲間、かぁ………」

この図書館を飛び出して、あの大都市へ行けばそんな仲間を見つけることが出来るのだろうか?共に戦い、時に励まし、ピンチの時には助けてくれる………


「……無理に決まってるか」


私が理解出来るのは、私を理解出来るのは、彼以外には誰もいないから。

「………次はどれにしようかなー」

それでもまるでそこに誰かがいるように言葉を呟いてしまうのは。


その言葉に答えてくれる、そんな「誰か」が欲しいから?